『坤輿萬國全圖』(京都大学附属図書館所蔵)を改変
概要
中国・明の時代、イタリア人で耶蘇会士のマテオ・リッチが、中国にヨーロッパの世界地図を伝えます。これをもとにして、1602年、李之藻が漢訳して作り、刊行された地図が『坤輿万国全図』です。
マテオ・リッチは、利瑪竇(りまとう)という中国名をもち、1601年に北京に入って布教活動を行いました。天文学や地理学を伝えたのは、西洋の学問が優れていることを人々に知らしめ、これによって布教を進めようと考えたものと思われます。
『坤輿万国全図』は、中国を中心として、大変詳細に描かれた世界地図です。日本には江戸時代の初期に持ち込まれ、模写されました。鎖国下の日本にとって、世界の地理を知る貴重な資料であったことは間違いありません。
ここに描かれている地理は、現在の目からみると誤りも多くあります。たとえば、南半球に南極やオーストラリアを含むような巨大な大陸「墨瓦蝋泥加(メガラニカ)」が描かれており、このような大陸の存在が信じられていたといういたことがわかります。当時の人々の世界に対する認識を知ることができ、その点でも貴重なものといえるでしょう。
公開している画像は、一般貴重書として収められている、『坤輿万国全図』です。木版刷りで、6幅1組の屏風仕立てのものでした(現在は軸装され、6軸に分かれています)。
模写本はいくつか見られますが、そのもととなった木版刷りのものは、大変貴重で、現在、世界でも数点、日本では京都大学附属図書館に所蔵されているものを含めて3点が確認されているのみです。
地図でみる日本、世界のうち 坤輿万国全図より抜粋
画像データについて
本データは、京都大学貴重書デジタルアーカイブにて公開されている原本(元画像データ)が左右分割収録となっており、他の坤輿万国全図と比較する際の便宜を図る目的で接合・変換したものです。
公開されているIIIFデータを左右つなげて表示されるようにしたものです。
- 元画像データ:2個のIIIFデータ(TIFF換算データ容量合計1.1GB)
- 本公開データはコンテンツ株式会社の高精細画像ビューアContentsViewFLEXでweb上で閲覧可能に変換したものである。
学術連絡先
国際美術研究所 角谷賢二(すみやけんじ)
Eメール:sumiyakenji5@gmail.com